2026 年 9 月 5 日 スモールビジネスの道具箱 Mirais チーム 読了 約 3 分

経理担当が「ネットの棚」をすすめる、意外な理由。

この記事の目次

木の棚に並ぶ瓶と品物

経理の担当をしています。

連載の第6回は、ネットの棚。ECサイトと呼ばれるものですが、私は「眠らない棚」と呼んでいます。経理の人間がなぜ売り場の話を、と思われるかもしれません。実は、帳簿の側から商いを見ていると、ネットの棚ほど「入れてよかった」と言われる道具は少ないのです。今日はその理由を、売上とお金の両面からお話しします。

買いたい瞬間は、営業時間の外で起きる

お客様があなたの商品を思い出すのは、いつでしょう。

夜、家に帰ってお風呂上がりに「そういえばあのクリーム、切れそう」と気づいたとき。遠くに引っ越した方が、ふと「またあの焼き菓子が食べたい」と思ったとき。贈りものを探していて「あの先生の教材、姪っ子にいいかも」と思い出したとき。

よく見ると、ぜんぶ営業時間の外です。買いたい気持ちには、営業時間がありません。棚があれば、その瞬間にそのまま買っていただけます。棚がなければ「今度お店に行ったときに」となり、経理の帳簿が知っている残酷な事実を言えば、「今度」の多くは来ないのです。

もうひとつ。棚は商圏を広げます。対面のお店の商圏は、通える範囲まで。ネットの棚は、日本中が商圏です。引っ越していったあの常連さんが、また常連さんに戻ってくれます。

経理の目から見た、もうひとつの良さ

ここからが、私の担当らしい話です。

現金や手渡しの売上は、記録が散らばります。ノートにメモ、レシートの束、そして記憶。3月の確定申告の時期に、この散らばった記録を集めて突き合わせる作業が、どれほど心を削るか。毎年この時期に憔悴される方を、私はたくさん見てきました。

ネットの棚は、売れた瞬間に記録が自動で残ります。いつ、何が、いくつ、いくらで、どなたに。売上の一覧がそのまま帳簿の材料になるので、月末の整理が驚くほど軽くなります。つまりネットの棚は、売る道具でありながら、同時に経理の道具でもある。3月に泣かないための備えは、実は売り場づくりから始まっているのです。

在庫の目にも触れておきます。棚に並べるとき、人は自然と「これは何個あるか」を数えます。どんぶり勘定だった在庫が、数字になる。これも帳簿屋としては、こっそり嬉しい副作用です。

「振込だけ」でも、開店できます

もうひとつ、経理担当ならではの背中の押し方を。「カード決済の contract とか、難しそうで」と止まっている方が多いのですが、棚は銀行振込だけでも開店できます。

ご注文が入ったら、振込先をご案内して、ご入金を確認して発送する。昔ながらの通販の形です。カード決済の接続は、売れる手応えを見てからで遅くありません。道具の世界には「全部そろえてから開店」という思い込みがありますが、帳簿屋の目から見れば、先に小さく売上を立てて、育ってから設備に投資するほうが、よほど健全です。

学びはひとつ。「棚は1品から」

ECと聞くと、商品を何十個も並べた大きなお店を想像しがちです。写真を全部撮って、説明を全部書いて。想像しただけで疲れて、始められない。

でも、小さな商いの棚は1品から始めていいのです。一番よく出るもの。一番遠くの方に届けたいもの。「あの1品だけの棚」で、充分に立派なお店です。1品なら、写真も説明も今週末に用意できます。棚は、あとからいくらでも広げられるのですから。

今日の一歩

対面でしか売っていないものの中から、ネットの棚に置く1品を選んでみてください。選ぶ基準は「遠くの誰かに、いちばん惜しまれているもの」。それが棚の一番手です。

次回は、「また会う」ための道具、LINEの話です。

M
Mirais チーム
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